スライドショーで思いを発信しよう:実践の流れ(1)学習のねらいをたしかめる

教師の手だてと子どもたちの姿

第1時間目は、国語の教科書を読んだ。ユニバーサルデザインの考え方を解説してある資料である。しかし、これだけでは、ユニバーサルデザインの理念は分かるが、ユニバーサルデザインそのものの要素が分かりにくい。いわゆる「ユニバーサルデザインの原則」である。
デジタル教科書には、「ユニバーサルデザインの7つの原則」が動画で入っている。わずか1分数十秒のものだが、よくてきていた。画像入りなので極めて分かりやすい。子どもたちに7つの原則を示し、ノートに記録するように指示をした。
そこで、アクアドーム(熊本市総合屋内プール)の写真を提示する。駐車場から玄関までの広いところを撮影したものだ。
「この写真の、どこにユニバーサルデザインがあるでしょうか?」と尋ねると、子どもたちは、「えっ?」という表情をしている。
熱心に見ているが、なかなか発見できない。ある子が、「模様に見えるけど、点字ブロックがあります。」とつぶやいた。他の子たちは、「えっ? あれ点字なの?」とささやいている。たしかに、模様のように見えるが点字ブロックなのである。
もう一つある。子どもたちに、この施設は、駐車場から屋内まで、まったく段差がないということを告げる。「あっ! そうか。」などと叫んでいる。「あまりも、当たり前すぎて気づかないけど、段差がないよね。これなら、あらゆる人たちにとって、やさしいものになります。ユニバーサルデザインの中には、あまりにも周囲にとけこんでいて気づかないものもあります。明日は、今まで気づかなかったユニバーサルデザインを、実際に探しに行きましょう。」と告げたところで、1時間目終了。次の日は、実際に、見学をしにいく。

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アクアドーム
アクアドーム(熊本市総合屋内プール)は、学校の近くにがある。熊本市が200億円以上をかけて作ったプールで、国際競技もできるという建物である。ここには、ユニバーサルデザインがたくさんある。車いすもスロープも、ピクトグラムも、数多くそろっている。子どもたちが実際に見学し、ユニバーサルデザインを体感する前の段階として、まずターゲットとなる概念そのものを理解させておかなければならない。そのために、事前に写真を見せて考えさせることで、見学の視点を与えておく必要がある。
このことによって、子どもたちの好奇心や探求心を刺激しながら、自分なりの視点を持たせることにつながっていく。
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