スライドショーで思いを発信しよう:実践の流れ(2)ユニバーサルデザインを体感する

教師の手だてと子どもたちの姿

第2時と第3時は、アクアドームの見学である。子どもたちは、何度かこの施設に来たことはあるが、ユニバーサルデザインの視点で見たことはなかった。
館長さんから、説明の後に、身体の不自由な方のための更衣室を案内してもらった。メッシュの車椅子に子どもたちは驚いていた。水に濡れてもいいように、車椅子のままシャワーを使えるのである。
そのあと、30分間、自由行動にした。あちこちを自由に回りながら、発見したユニバーサルデザインをメモしていく。以前にも見たことがあるのに、あらためて見てみると様々な発見がある。数名の子どもたちにデジタルカメラを持たせておいて、どんどん撮影をさせた。
どの子どもたちも、メモやスケッチをたくさんかいている。学校に帰ったら、20分ほどで感想文を書く。さすがに見てきたばかりだったので、どの子どもたちもぎっしりと感想文を書いていた。
ふだんから遊びに行ったりして見ている物でも、いろいろなユニバーサルデザインがあった。例えば、歩くところは平らになっており、段差がなかった。他にもプールのスロープのところは、車椅子の人や体の不自由な人が、らくに手すりにつかまって入れる。トイレは出入り口がとても広々としていて、車椅子の人でも入りやすいようにしてあった。手洗い場は、子どもや車椅子の人でも手を洗いやすいように、低い位置にあるものもあった。
アクアドームは、ユニバーサルデザインが多く、誰にとっても使いやすいと思った。当たり前だと思ってみている物でも、実は色々な人が使いやすいようにしてある。ふだん見ないようなところにも、ユニバーサルデザインが見られた。アクアドームは、体の不自由な人や子どもがどうすれば使いやすいのか、どうすれば困らないかを、しっかり考えて作ってあり、今日あらためて見て、アクアドームを利用する人のことを考えていると感じた。

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人間が生活する空間のデザインである
ユニバーサルデザインは、人間が生活する空間のデザインである。生活をする上で機能するためには、それらが置かれている空間を知らないと、実感できない。写真のような二次元のものでは、形を知ることはできても、環境の中にある存在感は分からないはずだ。広さや大きさは、その場所でしか分からない。「本物に迫る目」とは、本物との出会いの中で育まれる。まずは、本物のユニバーサルデザインを体感しておく必要がある。
情報収集でもっとも大切なことは、自分自身の身体で感じることだと思う。多くのジャーナリストが、現場に出かけるのはそのためだ。
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