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キーワードで読む情報教育 20
情報収集とインターネット
〜「インターネットで情報収集」は授業で使えるのか?〜
中川一史のキーワードへの道案内
私は仕事がらいろいろな地域の学校にうかがうことが多いのだが、昨年あたりから本格的にインターネットが整備されてきたような感じを受ける。そして、総合的な学習もあいまって、情報収集にインターネットを使っていきたいのだけど…という話をよく聞くようになった。インターネットを授業に活用することで、どんな良さがあり、どんなことに留意すべきなのか?

インターネットを授業に活用することによる枠組みの変化
1)インターネットは授業の枠組みを変える!?
〜教室の外へ飛び出す授業〜
まず、授業そのものにインターネットが入ってくることで少なからず変わっていく可能性がある。小学校の場合、たしかに学区めぐりや地域学習、社会科見学などで学校の外に飛びだすことはあるにはあるが、インターネットはこの枠組みをいとも簡単にやぶってしまう。例えば、「ネットでやりとりをした地域のお店屋さんに、実際に行って取材し確かめてくる」「環境問題について遠く離れた地域の学校の友だちと共同でレポートを作る」「教科書や資料集だけに頼らずにウェブページで最新の情報を集めてくる」…といった具合だ。ただし、現実にはすべてそうなるわけでなく、学校や教師がどの教科・活動でどのようにインターネットを含みこもうとするか、にかかっている。

2)インターネットは教師の意識を変える!?
〜今までの教師の常識が通用しない!〜
インターネットの登場で一番変わらざるを得ないのは、教師なのかもしれない。なぜなら、今まで教師がもっていた常識が通用しなくなるからだ。例えば、ある小学校でこんなことがあった。4年生の教師が、社会科でちょうど寒い地域の人々の学習を行っていた。この教師は、「雪の多い地域では、子どもたちは雪が降ると雪かきがとても大変で横浜の子どもたちのように雪が降ったからと言って喜んでいられない」ということを理解させようとしていた。まさに指導計画ではそうなっていたのだ。しかし、新潟のある地域の子どもたちからインターネットで送られてきた生の情報(メール)では、「たしかに雪はたくさん降るけど、今は道路や屋根があったまっている(ヒーティング)ので楽です」とか、「僕が学校に行っている間に、雪かきはお母さんがするので、僕はしたことがありません」と返ってきていたのだ。担任教師がとても慌てふためいていたことは言うまでもない。

つまり、インターネットが学校に入ってくるということは、必ずしも教科書どおりには学習は進まないということがでてくる。いつも、教師は今の情報に目をむけ、授業を練り直していかなければならない。

しかし、ただインターネットが学校でできれば、いつも子どもたちが情報収集に有効に「使える」というわけではない。

授業に活用するためには、どのようなことに留意すれば良いのか?
1)身近であるべき
子どもたちにとって、そもそもインターネットを活用できる環境はどのようになっているのだろうか?距離的に身近なところに設置されているのだろうか?何もパソコンルームにすべてそろっている必要はない。総合的な学習では、あるグループは図書室で本で調べるが、あるグループはインターネットで調べる、ということが状況としてはあるだろう。そうなると、数台で良いわけだ。それよりも「使いたいときに使いたいように使えるか」ということが重要になってくる。

2)試行錯誤を認めよ
いきなり、子どもたちにインターネットで効果的な情報収集ができるようになるわけではない。また、情報収集の手段として最適な選択を最初からするわけでもない。しかし、そのような失敗を経験することも大事なことだ。時間がないからと言って、子どもたちにとってそのような大事な経験の場面を教師が奪ってはいないだろうか?試行錯誤も大事な学びになるはずだ。

3)どの程度の「しかけ」をしておくか見定めよ
しかしいくら試行錯誤を、と言っても、やみくもに時間だけが過ぎても先に進まない。例えば、子ども用の検索エンジンを初期画面に設定しておくとか、おすすめのサイトを学校ウェブページのリンク集においておくとか、そういう教師の「しかけ」も必要だ。もちろん、「どこの学校でもこの学年でそのようなことが大事」というのではなく、どのくらいそういう経験をしてきたかで教師のしかけも変わってくる。

4)One of them のインターネットで情報収集
インターネットで調べたことがいつも正しいとは限らない。調べる内容によって、状況によって、インターネットで調べた方が良いのか、図書室の本の方が良いのか、お母さんに聞いたほうが良いのか、そのようなことを選択できるようになることが重要だ。場合によっては、そのような手段を組みあわせるということもあるだろう。このような「選択」と「組みあわせ」を意識させたい。

インターネットが学校に入り込んでくると、たしかに教師の負担(運営面、運用面で)が多くなる。しかし、閉鎖的と言われてきた日本の学校がインターネットの導入もきっかけの1つとなり、地域など学校の外の力をどんどん取り入れ、また授業の再構成のきっかけになっていくとしたら、そこにいろいろな可能性が見いだされてくるだろう。
中川一史(なかがわひとし)金沢大学教育学部教育実践総合センター助教授
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