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キーワードで読む情報教育 23
教員研修
〜校内での取り組み〜
中川一史のキーワードへの道案内
ここがポイント!校内研修
子どもたちは楽しそうに、しかも簡単そうにパソコンに取り組んでいる。パソコンを使った授業も活気があった。パソコン自体も、何だか不思議だけど、おもしろそう…子どもたちと同じで、教師にしても、興味や関心が出た時がそのものと関わる「旬」の時であると言えよう。

筆者が以前勤務していた小学校では、市からパソコンが配当された年に、外部の業者にパソコン入門の研修会をお願いした。しかし、始まるやいなや「パソコンの開き方」にはじまり、「機能の説明」しまいには「コンピュータの歴史」まで登場した。これには先生方も目が点になっていた。居眠りする先生方も出てきた。無理もない。

パソコンがどんなにすごい機械であるかを力説したところで、「だからなんなの?」という感触しか残らない。ましてや、明日からちょっとさわってみよう!とは絶対に思わないだろう。ここでの教訓を生かし、人(業者)まかせにせず、自分たちでパソコンの校内研修に取り組むことにした。テーマは「ためになるより、おもしろく!」

さっそく、先生方が楽しくでき、しかも実際に使えるのだという実感をもっていただこうということで、「お絵描きソフトでクリスマスカードをつくろう!」を計画した。事前に用意された何枚かの見本が「へえ〜、パソコンだとこんなことができるんだ!」というインパクトを先生方に与えた。

ここで使った「KidPix」というお絵描きソフトは手描きだけでなく、楽しい機能がたくさんついている。先生方に人気があったのはポンポンと押す(クリックする)だけできれいな色の絵になるスタンプ機能や、マウスをドラッグしていくと波のような模様ができたり、ぼかしができたりする機能である。ポイントは、ここで作ったカードを、印刷して「おみやげ」として持って帰っていただくことだ。そうすることによって、家に帰ってからも話題になる。そんな中で、「じゃぁ今度学校でも使ってみようかしら」と思ってくれるかもしれない、という作戦に出たのだ。

またある時は、もっと子どもたちの心に近づこうということで「ゲームに挑戦」という研修を計画した。プレステやコンピュータを批判される世の大人の方の中には、実際に自分ではやったことがなく、そのものの何に子どもたちがひかれるかということを見極めることもしないで声高に話される方が多い。しかし、それではコンピュータが子どもたちにもたらすものも見えてはこないのではないだろうか。

そこで、メディアの一つであるコンピュータゲームを実際に操作してみることで、子どもたちの思いに近づいてもらおうという研修会を行った。この時は「ダイノパーク」というゲームソフトを使った。恐竜公園の経営をするというシミュレーションソフトであるが、自分の気に入った土地で好きな恐竜を飼ううちに恐竜が逃げ出したり、従業員の給料が払えなくなってやめていったりと予期せぬ様々な出来事が起こるのである。しかし、何回かチャレンジしていくうちに、少しずつそのできごとが予測できるようになってくる。そうなると先回りして大変な事態が起こらないように、また、起こったとしても最小限に食い止めようという努力をしていくことができる。

研修会が始まる前に、筆者があおる。
「ぼくは、1年間公園を維持できました。先生方は何年間維持できるか競争です。」

競争心をあおられた先生方は、だんだん夢中になっていった。「○○先生たちは3ヵ月ですね。お!○○先生グループは、もう1年も維持してます。すごいなあ。」「お!抜かれました!」「今日は、△△先生のグループが優勝!」という筆者の声が響いても、なかなかパソコンから先生方は離れなかった。

「ああ、楽しかった。」「こんなに、夢中にさせるんだわねえ。」こんな先生方のつぶやきから、体験を通して子どもたちの気持ちに近づくことができたのではと感じた。

パソコンもインターネットも効果だけでは活用しない!
もちろん、実際の教科の中でどんな活用方法があるのか?パソコンやインターネットを使うことでどんな良いことがあるのか?を提示しながら、理解していただくこともあるタイミングでは重要である。しかし、とっぱじめからそういうことをギリギリ詰め込んでも、ビギナーの教師は「ひいていく」だけである。「自分にはとてもできない!」という思いを強くするだけだからだ。「効果がある!」というだけでは、なかなか重い腰をあげないのが教師の世の常だ。

ではどうすれば良いのだろうか?
 

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