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図工とコンピュータ
レポート1
教室から飛び出す図画工作の授業
佐藤幸江
(神奈川県 横浜市立大口台小学校)
横浜市立大口台小学校は、今年で創立47周年を迎えた古い学校です。一直線に並んだ教室、教材の収納にも困るような空きスペースのない、ごく普通の公立学校です。でも、ちょっとだけ…中身が違っているのです。それは、『ミレニアムプロジェクト』の先取りをして、教室にインターネットにつながったコンピュータ、そしてプロジェクタが、さりげなく置かれているということです。そのような学習環境の中で生活している子どもたちは、自然とコンピュータと仲良しになってきます。

ここでは、今までの道具ではできなかった表現活動を楽しむ子どもたちを、ご紹介したいと思っています。
『絵のリレーをしよう』 5年生:図画工作科の実践
教室という枠を飛び出して
5年生になると国語で「リレー物語」の学習をします。前の子が書いた文章の設定や思いを感じ取りながら、そこに自分らしさをプラスして物語の続きを表現していくというなかなかおもいしろい題材です。互いの創った物語を読み合うことによって、刺激し合い、表現力を磨いていくことができます。何回かこの題材に取り組んできて、これは「絵」でもできるなあと感じていました。

そこで、今回教室でインターネットのできる環境が整ったことで、いよいよやってみようかという気持ちになったわけです。以前、一緒に授業を創り上げたことのあるデザイナーの中村さんに、コンピュータで子どもたちのために絵を描いていただくことをお願いしました。小さいときから「本物」に出会うことは、子どもたちの感性や感覚を磨く刺激になると考えています。とても、贅沢な授業の出発ができました。さらに、インターネットを活用することによって、同年代の子どもたちだけでなく高校生も参加しての「絵のリレー」を展開していくことができました。
こんな授業の展開に
「デザイナーの中村さんが、みんなのために描いてくれた絵だよ。『大口台のみんなのことを考えながら秋の空をぼんやり眺めていたら、こんな絵が浮かんできた』んだって。おもしろいねえ。みんなで、この絵の『テーマ・形・色・一部の形』など、気に入ったところから絵のリレーを始めてみよう!」という提案に、しばらく、中村さんからの絵を見つめていた子どもたち。それぞれ、イメージの種をもらって表現を始めました。

〜Kさんは「線」が気に入って、リレーを始めた〜
中村さんのさらさらした線が「髪の毛やくちびるに見えたので、そのイメージをつなげました」というのが「恋する鼻高子」。さらに、その絵をもとに高校生が「風追い」という絵をリレーしました。小学生は、高校生が自分の絵をもとにしてくれたことを、とても喜んでいました。自分の絵が人に認めてもらえたうれしさでしょう。また、高校生の手にかかると絵がこんなふうに変わってしまうことに驚いて、自分も大きくなったらこんな表現がしたいという憧れになっていきました。
小学生の「恋する鼻高子」   高校生の「風追い」
〜Nさんは「テーマ」から発想〜
デザイナーの方のコメントの「秋の空を見ていたら…」から発想する子もでてきました。「秋という言葉からイメージした『秋の空に飛んでいる親鳥』です。木の幹や夕日の光も工夫しました」というのが「秋の空に飛ぶ親鳥」という作品です。その作品は、「恐竜」と「並ぶ木」という2つの絵につながっていきました。

〜Tさんは、「質感」を感じて〜
「中村さんの絵を見ていたら、線がくしゃくしゃしている感じがおもしろかった。だから、私は紙をくしゃくしゃにして、くしゃくしゃ感を出したかった」と手の仕事にこだわったTさん。コンピュータを使う表現だからという制限を加えず、その子のアイデアや表現のよさを認めてやることが大切だと思っています。Tさんの手を使った表現は、「紙で表現してもおもしろい」というように他の子たちにも影響を与えていきました。
先生もチャレンジ!
この活動は、図画工作科の授業時間に留まらず、休み時間などを使って続いていきました。それだけ、子どもたちにとってインパクトのある取り組みだったのだと思います。子どもたちからは「友だちと一緒に絵をつくっているみたいで、面白かった!」「自分の絵がイメージのもとになって、うれしかった。」「いつもは、なかなかイメージがうかばないけど、今日はすぐ浮かんだ。」「高校生の人たちは何か難しいソフトを使っているらしい。だから、もとの絵の色をかえたりぼかしたりできるんだ。でも、僕たちは「『種』からもっとイメージを広げていろいろおもしろい表現をしているよ。」といった感想が出てきました。

コンピュータやインターネットを活用することによって、様々な人との協同作業による創造活動を行うことができ、今までの概念化・固定化されたイメージを突き破ることができたと同時に、自分たちの表現のよさにも気づくことができたのではないかと感じています。

図画工作は手や体を使ってこそ意義あるものになるといった狭義の図工観にとらわれずに、ぜひコンピュータやインターネットを活用したいろいろな題材の開発にチャレンジしていきましょう!
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