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プレゼンテーション
レポート1
できた!なんとか間に合った!発表会のプレゼン
秦 安彦
(神奈川県 大和市立緑野小学校)
「統一感があまりないですね」

発表まであと一週間というこの日。プレゼンテーションのリハーサル後、指導好評を頂いた先生からの一言が、ぐさりと私の胸に突き刺さりました。

学年ごとに研究を進めてきたことの短所が、プレゼンテーションをするごとに段になって鮮明に浮かび上がってしまったのでした。自分では、学年ごとの発表に違いがあった方が、多少見てくれは悪くても、個性的でよいと思っていたのです。

しかし、客観的に外から一つの作品としてプレゼンテーションの内容を見たとき、やはり、ある程度の統一感がないと、見た人は疲れてしまいます。

「統一感があまりない」という言葉の意味を、私は吟味してみました。
・画像や文字の配置等、デザイン上の統一感。
・各学年の時間・内容等、構成上の統一感。
・発表する人の言葉の調子等、表現上の統一感。
・学校全体で一つのことを研究しているという感覚的な統一感。
つぎつぎといろいろなことが見えてきました。

「時間がない」「どうしよう」一方でそんな焦りもありました。その上、もう一つ解決しなければならないことがあったのです。それは、作品の仕上げを私ともう一人、パソコンが堪能な臨時採用のAさんの二人でしていたことです。3学年分の作品をAさんが受け持っていました。担任を持っていないという立場上、Aさんのところには様々な要求が寄せられました。「もっと、こうならないかなあ」「ここには動画も入れたいんだけどなぁ」・・・。熱心に取り組むAさんに「あまり背負い込むのはやめろよ」とも言えず、時間だけが過ぎて行きました。

発表会まであと3日という時、本番と同じようにリハーサルをすることになりました。教育研究所の指導主事や校長が見ている中でのリハーサルでした。

初めからわかっていたことですが、リハーサルは大失敗に終わりました。完成度を求めるあまり、至る所に画像やデータがないところができてしまい、いまだ未完成の状態を露呈することとなったのです。

私はこのとき、再認識しました。プレゼンテーションの核心は、「整理」だということを。整理とは情報を厳選すること。つまり、選び抜いて余計な部分を捨て去ることです。この捨て去ることが、なかなかできないのです。

「こんな状態で当日大丈夫かね…」
「私が徹夜してでも、必ず間に合わせます。」
校長の言葉に、そう答えるのが精一杯でした。

リハーサル後の反省会で、私は強い調子で各学年の代表者に言いました。
「締め切り後一週間たっても、まだデータを持ち込んだ学年がありました。非常に困っています。もう、あと3日です。一切変更は受けつけません」

コンピュータを使うと、データの変更が容易にできます。が、今回はそれが災いしました。「いいよいいよ」でやってしまうと、データを持ち込む者にも「まだ、変更可能なんだ」という甘えが生じます。学校規模のプレゼンテーションでは、データ持ち込みの〆切を一週間前ぐらいに設定し、厳守することが大切だと思いました。

最後の3日間、私とAさんの共同作業はトントン拍子で進みました。デザイン上の仕上げをAさんがやり遂げ、技術的なサポートを私がしました。

各種画像を取り込み、動きのあるプレゼンテーションを実現するために、安定度の高いパソコンを選ぶことが重要だと思いました。また、今回のような大画面(体育館、ステージ上のスクリーンに投影)でのプレゼンテーションでは、映写機であるプロジェクターの性能がものをいいます。パソコン画面上で美しく出た色がプロジェクターを通すとうまく再現されないということがありました。幸い今回は大型高性能のものを借りることができましたが、十二分に注意したい部分です。半暗室にしたときに、画像が薄くて見えないようでは、苦労が水の泡です。

今回は最終的に約80画面の作品となりました。画像等も含めると400MBほどの容量となりました。
1年オープニング 5年の活動
結局作品が完成したのは、発表当日の朝でした。
「なんとか間に合った」

動画が無事動き、プレゼンテーションが終了した時には、座り込んでしまいたいくらいの疲労感が私を襲ってきました。と同時になんとかやり遂げた満足感はなにものにも代え難いものでした。妥協せずに、最後までよいものを共に作ろうと頑張ってきたAさんの情熱と根性には特に感謝したいと思いました。

「次回は発表だよ・・・」

教師は子どもたちに、普段の授業で何気なく指示することが多いでしょう。しかし、まず教師自らがプレゼンテーションしてみると、そのことの重さが本当によくわかるのだと思います。子どもたちの素晴らしさを再認識した瞬間でもありました。
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