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キーワードで読む情報教育 18
地域での交流学習
〜遠い外国よりも近くの地域へ〜
レポート1
顔の見える交流のよさ・おもしろさ
佐藤幸江
(神奈川県 横浜市立大口台小学校)
なかなか会えないけれども「会いたい」と思った時に「会える」距離での交流は、インターネットの小学校への普及とともに、広がってくるのではないかと思っています。インターネットでの交流と、実際に会って交流することにより、より追究活動がダイナミックに展開されていくことが期待されることと、小学校の頃からコンピュータの向こうには「人」がいるということを認識しておくことは、これからの情報化社会を生きていく子どもたちにとって必要なことであると考えるからです。

交流を続けたい!
「今年も宮ヶ瀬小学校と交流したいです。」「せっかく5年生のときにいろんなことを一緒にしたから、6年になってもおもしろいことできると思います。」「そうだよ。もっと5年生のときより仲良しになりたいな。」

6年生になって、同じクラスを担任できることになりました。(最近、横浜では担任は1年限りというパターンが多くなっているのです)そしてこれらの意見は、6年生になって初めての「総合的な学習の時間」に「今年の活動計画」の話し合いをしたときに出されたものです。

本校は、横浜のランドマークタワーやベイブリッジを間近に見渡す小高い丘にあります。子どもたちは、自然といえば校庭に植えられた約200本あまりの木を見て、「大口台は自然が豊か」というような、自然に親しむというには程遠い環境の中で育ってきています。かたや、同じ神奈川県内にある宮ヶ瀬小学校は、宮ヶ瀬ダムの豊な水と緑に囲まれた素晴らしい環境の中にあります。ところが、宮ヶ瀬小学校は、全校児童数が毎年10名をきるという小規模校ですので、子どもたちを鍛える場を望んでおられました。

そのような2つの学校の交流のきかっけは、教師がたまたま同じ研究会に所属していて「地域性の違いが出ておもしろそうだから、交流してみましょう」ということでした。何がきっかけになるか分かりませんが、こうして始まった2校の交流は今年で5年目を迎えます。
宮が瀬小学校の子どもたちが本校に来校 宮が瀬小学校の校長先生のお話をテレビ会議で聞く
一緒に活動しよう!
では、5年生のときにこの2校はどんな交流をしてきたかということをご紹介しましょう。以下の文は、5年生の時に自分達がやってきたことを、子どもたち自身でまとめた文の一部です。

5年2組はウキワクチャレンジ隊
5年2組では、『総合的な学習の時間』を『ウキワクチャレンジ隊』と名づけました。そのわけは、みんなでウキウキワクワクして、いろいろなことにチャレンジしたいと思ったからです。

学級目標は「命を大切にすること」
5年2組の目標は、「いのちをたいせつにします。」です。
『いのち』の言葉のなかには「いのちを大切にする」ということの他に、
(1)いっしょうけんめい努力しよう。
(2)のびのびやりたいことに挑戦しよう。
(3)ちがいを認め合う心をもって、はげましあおう。
という意味が入っています。

2組は、その目標に向ってがんばっています。だから、これをまとめるときにも、みんなそれぞれ分担をして、いっしょうけんめいがんばりました。

子どもたちは、学級目標でもある「いのちをたいせつにする」活動を、『総合的な学習の時間』で始めることにしました。県の絶滅危惧種になっている黒めだかを飼ったり、NHKの番組つくり体験では『自然や命を大切にしてる人々』というテーマで、自分たちの番組を作ったりしました。それらの活動を、宮ヶ瀬小学校と一緒に行なっていったわけです。

番組にして伝えよう
5年生みんなで、NHKの放送体験に参加できることになりました。ちょうど、社会科でテレビ局の勉強をしていたので、テレビ局のしくみや働く人のことを調べながら自分たちでも番組を作ることになり、みんなはりきりました。宮ヶ瀬小学校の友だちも誘って、一緒につくることにしました。

一番大変だったのは、テーマです。番組を見た人たちに何を伝えたいのか、何回も話し合いました。宮が瀬小学校とメールで相談もしました。ちょうど『ウキワクチャレンジ隊』で「いのち」のことをやっているので、ぜひそのことを伝える番組にしようということに決めました。

いろいろな人が見てくれて、自然や命のことを考えてもらうためには、いい番組にしないといけません。それぞれの地域で「自然を守る」活動をしている人を取材し、紹介し合い、番組を視聴した人が自然やいのちについて考えてくれる番組にしようと2校の子どもたちは協力して活動しました。

交流を行いながらテーマを追究
じっくり見てほしいのものは郵便やFAXで送り合ったり、急いでいる時には電話をかけたり、相談事は相手にうまく伝わるように文章を考えメールでやりとりしたりというように、子どもたちは交流の道具を選択しながらコミュニケーションを深めていきました。また、NHKの番組体験では宮が瀬小学校の子どもたちも横浜のNHKに来て、一緒に番組つくり体験を行ないました。そのような交流を行ないながら、互いのテーマを追究していったのでした。

会えるときには会える場を設定し、様々な交流の道具をうまく絡ませて行なった活動がきいて、6年生になったときの前述のような発言につながっていったのだと思います。今年も、また2校で地域に目を向けるような活動が始まっています。
 

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