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キーワードで読む情報教育 26
新教科「情報」
中川一史のキーワードへの道案内
中川一史のキーワードへの道案内
平成15年度からいよいよ高等学校で新教科「情報」がスタートする。すぐにすべての学校が動き出すわけではないが、平成17年度にはすべての学校で実施することになる。普通教科「情報」では、「情報A」「情報B」「情報C」の3つから各学校が選択することになる。平成12年3月に文部省(現:文部科学省)から出された高等学校・学習指導要領解説の「科目構成及び内容構成の考え方等」によると、

○「情報A」においては、コンピュータや情報通信ネットワークなどを活用して情報を選択・処理・発信できる基礎的な技能の育成に重点を置く。内容は例えば、情報活用における情報手段の有効性、情報の収集・発信・処理と情報手段の活用、情報手段の発達に伴う生活の変化などで構成する。

○「情報B」においては、コンピュータの機能や仕組み及びコンピュータ活用の方法について科学的に理解させることに重点を置く。内容は例えば、問題解決におけるコンピュータの活用の方法、コンピュータの仕組みと働き、情報処理の定式化とデータ管理、情報社会を支える情報技術などで構成する。

○「情報C」においては、情報通信ネットワークなどが社会の中で果たしている役割や影響を理解し、情報社会に参加する上での望ましい態度を育成することに重点を置く。内容は、例えば、デジタル表現、情報通信ネットワークとコミュニケーション、情報の収集・発信と自己責任、情報化の進展と社会への影響などで構成する。

となっている。

しかし、何よりも、特筆すべきは「情報A」では総授業時間数の1/2以上を、「情報B」「情報C」では総授業時間数の1/3以上を実習に配当しなければならないことだ。このことは、これまで座学を中心に授業を行ってきた教師にとって発想の転換が必要になる。

現に筆者はこれまでさまざまな地域でこの「情報」の研修に講師として出向いているが、参加した教師から一番困ることとしてあげられるのが「実習の授業をどのようにすれば良いのか」ということだ。

そこで、ここではどのように実習の授業を構想していけば良いのか、行う上でのポイントは何なのか、あげていこうと思う。

ポイント1:生徒に身近な課題を
実習で特に大事なのがテーマだ。生徒に縁遠いようなテーマを持ってきたら長時間かつ生徒が主体的に行うはずの実習はもたない。

日本文教出版の「情報」の教科書では、「社会生活の中のコンビニエンスストア」や「CM研究」をテーマ例として扱っている。生徒にとって身近なテーマ、課題であるかどうかは十分に吟味する必要がある。

ポイント2:調べてまとめて伝えるプロセスが入っている

実習では、テーマを決め、計画を立て、作品作りや調査活動を行い、発表の場を持ち、評価するというようなプロセスを経る。ここでは結果がどうなったかということもさることながら、どのように活動しているかが重要なのだ。

ポイント3:グループで活動する

制作活動や調査活動ではコンピュータやインターネットを活用することも多い。物理的な台数や時間の制限もあり、1人1人が個別に活動することは難しい場合が多い。実習内容はグループ活動がどのようにできるのかについても考慮に入れる必要がある。もちろん、コンピュータの台数が十分でも生徒同士が相談しながら活動すること自体もとても重要なことだ。

ポイント4:行間を生かす
行間というのは、「授業と授業の間」ということだ。毎週の授業時間だけでは、実習の活動は十分に進まない。来週の授業までに〜を調べておく、自宅のコンピュータで〜を作っておくなどの活動がうまく位置づくようなしかけも必要だ。

ポイント5:総合、教科との連携
時間がたりないということでは、今後、総合的な学習等との抱き合わせが可能なのかということも考えてみるべきだ。また、内容によっては、他教科との連携も視野に入れると良い。これまであまり関わりのなかった教科の教師との連携で生徒にとってとてもおもしろい授業になったという事例も出てきている。

いずれにしても、新教科「情報」がうまくいくかどうかは実習にかかっていると言っても過言ではない。
中川一史(なかがわひとし)金沢大学教育学部教育実践総合センター助教授
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池田 明
(大阪府 大阪市立扇町総合高等学校)
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