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キーワードで読む情報教育 26
新教科「情報」
レポート1
心つたわっていますか?
井口 巌
(東北学院中学高等学校)
井口 巌先生

はじめに
ある勉強会で、「『情報』ってなに?」について。情(なさけ、こころ)報(ホウじる、つたえる)『心を伝えること』と言われた先生がおられました。私たち、日頃の生活で心を伝えられているでしょうか?「本当に心が伝わっているの?」そんな授業が展開できたらと考えていました。そこで、こんな授業はできないかな?と恥を覚悟で実践した授業を紹介します。

授業の背景
生徒の状況、コンピュータの起動・終了、共有フォルダへのファイル保存はできる。また、簡単なマウス操作によりCGの作成経験はあるが、パワーポイントは8割が初めて使用する。

授業のねらいは、「パワーポイントを使ってアニメーション入りの4コマ漫画を作ってもらう」こんな授業ならどこにでも…とお思いの方もおられると思います。

違いは『作ってもらう』ところです。近年プログラムを作る場合、外注した
り、数人のプロジェクトで構造化プログラミング言語を用いて開発したりします。つまり他の人に作ってもらうわけです。しかし、高校生ではその様な経験は全くありません。そこで自分の考えた4コマ漫画のアイデアを他の人に伝え、作品を作ってもらう経験を通して、コミュニケーションを円滑にするために、どのような事に注意することが必要かを考えてもらおうというものです。

授業について
作品のテーマを「夏休みの思いで!」とし、夏休み明けの約一ヶ月間を使いました。

図1は企画書の段階です。図2は授業終了後、図1の企画書をより良くするための改善を具体的に書き込んでもらいました。

図1 図2
図1
図2 (それぞれの画像をクリックすれば拡大表示されます)
実施してみて
図1のように、高校生でも何も教えないと企画書はほとんど書けないことが示されました。(うちの学校だけかもしれませんネ)

パワーポイントのアニメーション機能は多彩で生徒は夢中になって作成していました。途中で生徒間でやり取りした企画書に不満があるようなので、アンケートをとりました。作成途中なので、説明不足についての意見が多く出されていました。

作品ができて皆で観賞したところ、企画者から「俺よりも良いのができた」と感想が出るような作品になったようです。作品をお見せできないのが残念です。さらに、最後の振返り報告書では、企画書の書き方について色々な意見がよせられました。作成時の苦労からか、絵についての意見が多く、次に説明不足を指摘し、アニメーションについてや音についての意見も多く出てきています。うちの生徒も成長したでしょ!

この課題をとおして、生徒は頭の中にあるアイデアを人に伝えることがいかに難しいかを体験し、どのような点に注意したら自分の考えを伝えられるかのヒントを自分の言葉で表せたようです。まだ1回だけの経験なのでノウハウの定着までは進んでいないと考えられます。今後の『心の伝達』の基盤になってくれるのではと想像しています。

エッ!教師は何をしてたかって?そうですね、生徒の間を歩き回って、チャ
チャ入れながら、様子をうかがっていました(訂正?生徒に素晴しいアドバイスしていました)。
 
最後に
今後のこの授業の展開ですが、同じクラス内で実施すると企画書が不備でも、話し合いで解決できてしまいます。他のクラスに作ってもらい、質問はメールで展開すると記録も残り、報告書の材料にもなると考えています。メール活用の意味も出てくるので良いかもしれません。

私の3つの憧れの情報の授業があります。今回の実践では、その1つ「教えない授業」に半歩前進できたかな?と思っています。
 

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