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キーワードで読む情報教育 7
学校間交流
レポート1
学校間交流〜子どもが輝く時〜
山本直樹
(京都府 京都市立 桂坂小学校)
交流学習では子どもたちを学習に巻き込むために「仕掛け」を仕組むことがあります。それにより子どもたちが生き生きとした表情を見せた交流学習の事例を紹介します。

○オフラインミーティングで心を通わせる
本校には障害を持つ子どもの通うやまゆり学級(育成学級)があります。昨年度この学級には1年生から6年生まで計10名の子どもたちが在籍していました。リーダーは6年生のY子ちゃんです。そのやまゆり学級の子どもたちが岡山県立早島養護学校の6年生と交流することになりました。これにはある仕掛けがありました。実は早島養護学校の子どもたちが、秋に本校のすぐそばの宿泊施設に修学旅行に来ることになっていたのです。その際にオフラインミーティング、つまり実際に会うことを両校の担任同士が約束していたのでした。

この交流を通して本校側のねらいとしたのはY子ちゃんのコミュニケーション力を高めるということでした。Y子ちゃんは簡単な文章なら書けるので、コミュニケーションには電子メールを使うことにしました。時には自分たちの生活の様子をデジカメで撮って送ることもありました。相手への意識がはっきりしていたので、Y子ちゃんはなんの抵抗もなく電子メールで手紙を書き続けました。ビデオレターも作りました。話すのはあまり得意ではなかった彼女もナレーションに挑戦しました。交流会の前にはコンピュータで招待状を作りました。出来上がった招待状を手にした時、ニコニコととってもいい表情をしていました。

そしていよいよ早島養護学校の子どもたちがやってきました。交流会に使える時間は約1時間。この交流会には不安もありました。育成学級の子どもたちはコミュニケーション力に課題を抱える子が多く、初めて顔を合わせる子どもたちとうまく関わることができるか未知な部分が多かったからです。ところがボウリングを始めた時、その不安は吹き飛びました。早島養護学校の子どもたちは車椅子に乗っています。ボウリングの玉は竹の棒を2本使って、ひざから転がす工夫が必要でした。それを見てY子ちゃんが自分の判断でとっさにその手伝いを始めたのです。それを見てやまゆり学級の他の子どもたちも手伝いを始めました。これは予想外の出来事でした。コミュニケーション力に課題を持つ彼女たちが、自主的に初対面の人の手伝いをするということは画期的な事だったのです。最初抱いた不安もどこへやら、このあとも楽しく交流会は進んでいきました。やはり直接会うことが人と人とのつながりの基本であることを、子どもたちが教えてくれました。

○交流内容にリアリティを持たせる
本校の地域には古墳があります。昨年、6年生がその古墳について兵庫県の三方小学校と交流しました。主なコミュニケーションツールとしてテレビ会議を使いました。でもこのテレビ会議は資料の使い方によって相手に伝わりにくいことがあるのです。そこで伝えるための仕掛けとして古墳からの出土品の実物を借りてきて、それぞれ見せ合うことにしました。本物が持つ迫力やリアリティまで伝えたかったのです。そしていざテレビ会議を始めると面白いことに気がつきました。いくつかある出土品のうち、一つだけデザインがそっくりというものがあったのです。これには子どもたちもびっくり!テレビ画面越しにお互いその土器をグルグル見回してみてもやはり同じデザインなのです。つまり今から1500年も昔、150kmほど離れた土地でまったく同じデザインの土器が作られていたということになります。子どもたちはこの事実から、これは偶然ではなく、きっと昔ならではの情報伝達手段があったに違いないというふうに考えました。そしてその仮説を検証するべく調べ学習に入っていきました。もちろん古墳学習に対する意欲は明らかに高まりました。このように実物を使って交流することで、交流内容にリアリティを持たせる仕掛けも大切であると感じました。
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