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キーワードで読む情報教育 22
美術とコンピュータ
レポート1
楽して楽しい、始めの一歩の実践
加納知世
(石川県 小松市立南部中学校)
加納知世
「先生!粟津温泉のことをインターネットで調べたい」と生徒が言い出しました。
(ついに美術の授業で、コンピュータに触らなくてはいけない時がきた…)と私は時代の流れに観念し、コンピュータ教室デビューをしました。3年選択美術の生徒たちと話し合い、今年のテーマを「地域自慢〜粟津温泉・那谷寺の宣伝」としていたので、地域を調べることから始まったのです。ポスター・風景画・ゆかた・うちわ・はっぴ・Tシャツデザインをそれぞれ考え、その作品を使ってビデオコマーシャルをつくろうという試みでした。

始めの一歩の実践その1『インターネット検索』
インターネットはすでに生徒たちに浸透しており、私より生徒のほうが上手でした。ところが、一難去ってまた一難。「先生!うちわに描く文字のレタリングをパソコンでさせて。」 と言い出す生徒が出てきたのです。

始めの一歩の実践その2『お絵かきソフトでレタリング』

  授業の様子
  授業の様子
生徒は技術の時間で覚えた機能を使いこなし、自分流のアイデアをつぎつぎと出していきました。

レタリングの文字をだんだん大きくして並べ、遠くから手前に文字が接近してくるように見せる。
コピー機能を使って「ゆ」の字を繰り返し、粟津という字を書く。

などです。できあがった文字を印刷し、うちわの台紙に貼りましたが、つなぎ目がしっくりきません。そこで生徒たちは、周りを絵の具でぼかしたり、囲み模様をつけたりしてなじませ、(コンピュータの絵は、なんか味気ない)と思っていた私の偏見を打ち破り、絵の具をうまく融合させ、温かみのある作品に作り変えてしまったのです。

始めの一歩の実践その3『他校と地域自慢交流』

ビデオコマーシャル作りに取りかかる前に、相手を意識させた発表の仕方を学ぶことをねらいとし、美術でコンピュータをすでに使っている中学校との交流を考えました。
交流校の先生とメールで打ち合わせをし、私の学校は仕上がったポスターやうちわなどの作品を使って寸劇の発表。相手校はプレゼンソフトを使い、画家の紹介と地域にある宮本三郎美術館での対話型鑑賞の授業紹介をすることにしました。この交流から得た主なことは、

相手校の映像メディアを使った多様な表現方法の効果に気づいた。
自分たちの発表を振り返り、他校から感想をもらうことで、練り直せた。
地域の違い、校風の違いから地元のよさを見つめなおせた。
教員自身の教材研究が深まり、メールでの意見交換の活用が増えた。

などがあります。その後の交流で得たことを生かし、ビデオ撮りをしました。

始めの一歩の実践その4『短時間でできる遊び心のある題材』
コンピュータを使わず手作り作品に徹していた生徒たちが、コンピュータを使って自分たちも何か作りたいと言い出し、「じゃあ、1時間でできるイラストでも描こうか」と言うと、

松尾芭蕉の恰好をした体の部分を一人の生徒が描き、そのファイルをみんなで共有し、自分たちの顔をそれぞれ書き加え、背を高くしたり、体を太くしたり、自分の背格好に変えてできた那谷っ子俳人を一列に並べ合体させた。
ミニミニシール図案作り。交流授業で来ている障害児学級の生徒が描いた、道祖神シールが人気を集め、保健室登校の生徒もコンピュータ教室に入り、一緒にシールを作り、できあがったシールをみんなと交換し、なごやかな人間関係が生まれた。

これらの実践を通して、コンピュータは生徒の表現力を安易なものに変えてしまうものではなく、使い方で発想がより豊かになるということがわかりました。また、いろいろな情報を得たり、伝達・交流することで閉鎖的な環境が変わってきました。今後は、自己表現の道具として、心をつなぐ道具として考えていこうと思っています。
子どもの作品
子どもの作品
 

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