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キーワードで読む情報教育 2
1分間スピーチ
中川一史のキーワードへの道案内
私はNHKの小学校3、4年生用の情報教育の番組(NHK教育「調べててまとめて伝えよう」 ※本HPブックマーク拝見第1回中村武弘氏参照のこと)の企画委員をやっている。その1回目の番組が放映されたが、テーマはまさに「1分間で自己紹介スピーチをする」というものだった。情報教育と聞くと、すぐにコンピュータやインターネットを使うこと、と誤解している方も少なくない。確かに人に伝える場面ではコンピュータを駆使してプレゼンすることも時には必要だが、基本は「話す」ことにあるはずだ。そこで、上で述べた番組でも、1回目として「1分間で自己紹介スピーチをする」ことをとりあげている。ちなみに、番組の中で私がポイントとしてあげているのが、以下の4つだ。
)時間をはかりながら練習してみる
※なかなか1分で話しきれないという現状から
)ゆっくりはっきり話す
※ついつい早口になってしまうという現状から
)メモ程度にして顔をあげる
※書いているものをずっと下を向いて読んでしまうという現状から
)1つのことをくわしく話す
※内容が表面的であるという現状から
番組に出てくる4年生のクラスの子どもたちの1分間スピーチを見ながら、コメントをしたものだ。まさに「人にわかりやすく伝える力」をどうつけるかは情報教育(その中の情報活用の実践力)の大事な部分だ。そのような意味では、上で述べたポイントの他に、下記のような留意点があろう。

話したいことをみつける
上で述べたポイントは番組の中なので、最初をはしょっているが、実はこの前に、何よりも「話す楽しさに出会わせる」ということがあげられるだろう。 話し方うんぬんの前に、「話したいこと」をみつける・思いつくことの方が子どもによっては難しいことなのだ。教師もここに気を配る必要が出てくる。自己紹介であれば、おさえるべき観点についてクラスで話しあっておくこともクラスの実態によってはやっておいたほうが良いかもしれないし、それでも思いつかない子にはインタビュー形式で事前にアドバイスしてあげることも必要になるだろう。

継続は力なり
1分間スピーチは単発でイベント的にやっても、効果は望めない。だから、山下教諭のように、いろいろな場面で場を作る、続けてみることが大事なのだ。
もちろん、教師からだけでなく、共通のテーマ自体をグループで順番に出してもらうというのも楽しいかもしれない。
やっていくうちに、1分という時間にとらわれずに、社会科の発表場面などへの応用も可能であろう。スピーチという枠からだんだんとプレゼンへ意識をうつしてゆくということもできるわけだ。

伝える工夫の楽しさを感じる
番組内でもそうだったが、子どもたちは時には大人の発想を超えることをやってしまうもの。野球が得意な子がボールを投げるまねをして見せる、なんていう発表はなかなか大人には思いつかない。しかし、ただ工夫しなさい、と言ってみてもなかなかできるものではない。
そこで竹田教諭がやっているような「デジカメスピーチ」のように飛び道具をもち、クイズ形式を取り入れ、だんだん伝え方そのものを広げていくのもうまいやり方だ。

ふりかえる場をもつ
番組に登場したクラスを見ていると、「モニタリングする場面を作る」ということをやっている。1回目のスピーチ (自己紹介) をやったあとに必ず時間をとってふりかえってみるということだ。カメラでとった場合には、自分の様子をビジュアルとしてもふりかえることができる。そして遠回りのようだが、聞き手を育てることが、うまく伝える力を育てることにつながる。
最後に、何よりも忘れてはならないのは、「なんでも言いあえる受け入れられる雰囲気」ができあがっているかどうかだ。結局、「人とちがって良い!」ということを子どもたちが毎日の学校生活の中でしっかり感じとれるような学級経営の問題だということだ。

中川一史(なかがわひとし)金沢大学教育学部教育実践総合センター助教授

レポート1
「あくびも止まる1分間スピーチ」 山下雅美(石川県 大根布小学校)
レポート2
「ちょっとした工夫でスピーチを楽しく」 竹田 啓(山形県 長井市立平野小学校)
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