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授業報告【第2回】
パンフレット研究をする
授業のねらい

この授業では,今回パンフレット作成を依頼されたPhotoshop Elementsがどんなソフトであるかを,子ども達に理解させることがねらいです。広告の作り手として広告対象がどんな特徴を持っていて,どこが魅力(ウリ)なのかを知ることは大変重要です。パンフレットターゲットにどのように訴えるかは,必然的にそこから導き出されます。

情報教育のカリキュラムとして,地域の施設や自分達の学校のパンフレットを作らせることがあります。その場合も,その施設のウリが何であるかを検討する時間が大切です。直接現地へ行く,電話で質問する,インターネットで調べるなど,さまざまな手段で情報収集させます。その活動を通して,その施設の特徴や魅力をつかみ,そこから「何を」「だれに」「どのような表現で」伝えていくかをしぼりこんでいきます。「ウリをつかむ」というのは,そのものの本質を見抜く力につながります。この力を身につけさせることは,情報教育としてパンフレット作りに取り組むねらいの一つでもあります。
授業の様子

ここから先は,コンピュータ操作を伴う活動です。この活動では,とにかく子ども達に自由にPhotoshop Elementsをさわらせることにしました。ちょうどこの頃,Photoshop Elementsが1.0から2.0にバージョンアップするという知らせを受けました。その時,学校のコンピュータに入っていたのはバージョン1.0でした。子ども達が依頼されたのはPhotoshop Elements 2.0のパンフレットです。そこで北川氏に依頼して,最新版Photoshop Elements 2.0を送ってもらいました。それも学校のコンピュータ台数分です!子ども達が大喜びしたのは言うまでもありません。その反面,アドビの期待の大きさが感じられて,我々教師は少しプレッシャーを感じてしまいましたが・・・。

 
コンピュータを操作する子どもたち  

5年3組の子ども達とPhotoshop Elementsとの出会いは,1学期の「みさきの家」パンフレット作りの時でした。このソフトはもともと子ども向けに作られたものではないので,最初はうまく使えるだろうかという心配がありました。子ども達の中には,コンピュータ操作が不得意な子もいます。その子ども達が,コンピュータ操作にアレルギーをおこしてパンフレット作りに意欲をなくすようでは本末転倒です。そこでその時は,役割分担でコンピュータ係になった子ども達だけにPhotoshop Elementsの操作法を指導しました。しかも数多くある機能のうち,パンフレット作りに最低限必要なものにしぼって教えました。あくまで「みさきの家」パンフレットを作るのが目的だったので,それでもよかったのです。でも今回はPhotoshop Elementsそのもののパンフレットを作るのが目的なので,そのウリは子ども達全員に感じさせる必要がありました。そこで班ごとに2台のコンピュータを割り当てて, 全員がPhotoshop Elementsを操作できる時間を設けました。

子ども達には「まず自分がPhotoshop Elementsの楽しさを実感できないと,人にうまく伝えるパンフレットはできないよ」と言いました。子ども達はああでもないこうでもないと言いながら,さまざまな操作法を習得していきました。写真があっという間に水彩画のように変わったり,自分の姿が外国の風景と合成できたり・・・。うまくできるたびに,子ども達から歓声があがっていました。Photoshop Elementsに慣れている子を中心にして,班の中で教えあう姿も多く見られました。そのため,心配していたようなコンピュータアレルギーを起こす子はいませんでした。

Photoshop Elements実習用ノートパソコン

コンピュータ室だけでなく,教室にもPhotoshop Elements実習用のノートパソコンを1台置いて,自由に使えるようにしました。市販のPhotoshop Elements解説本も5冊買ってきました。子ども達がPhotoshop Elementsのパンフレットを作る時には,その操作解説が必要になります。その時にも,これらの解説本がきっと役に立つと考えました。
このPhotoshop Elements研究のあと,そのウリを班ごとにプレゼンテーションして,みんなで情報共有することにしました。それぞれつかんだPhotoshop Elementsのウリを整理して,どのようにみんなに伝えるかを相談させました。

担任のつぶやき
 

子ども達の一言感想から・・・

ちょっと(コンピューターが)触れなかったけど,いろいろ機能が分かりました。
写真を変にするところがおもしろかったです。
ゆがましたり,らくがきしたり,いろいろなことができた。
エレメンツでいろんなことができた。コンピューターって便利だなと思った。
全然発見できなかった。

子ども達にとって,ボタン一つで画像が変化するこのソフトはとても魅力的なのだなあと思いました。ソフトそのものに対して,こんなに食いつくということは,今までになかったことです。ましてや,そのソフトのウリを自分たちで探すということは,教師側が使い方を教え込む今までとは全く違うアプローチです。子ども達が主体的にコンピュータに関わる姿が,見ていて興味深いものでした。また,普段他の教科で活躍しにくい子どもにとっても,「自分にも見つけられた!」という満足感のもてる時間であったことを,担任としてうれしく思いました。

 
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