デジタル表現研究会
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授業報告【第2回】
パンフレット研究をする

授業のねらい

これからPhotoshop Elementsのパンフレットを作る活動です。しかしその前にどうしてもやっておきたい学習がありました。広告デザインにおける配色、フォントの基礎学習です。コンピュータを使うと、配色やフォントは一瞬で変えられます。でも一歩間違うと、読み手に伝える上で逆効果のデザインを安易にしてしまうということも起こります。最近、総合的な学習でコンピュータを使ってホームページを作ったり、プレゼンテーションをさせることが多くなりました。ところが、時々白い背景に黄色の文字といったとても見づらい画面作りをする子どもがいます。また、その色が本来持つイメージを無視した配色をするケースも見られます。配色のルールがわかっていないのです。現行の図工科の学習指導要領では、配色は中学校での学習に位置づけられています。しかしコンピュータを活用したデジタル表現が小学校でも当たり前になった今日では、この配色の学習は早くから行っておくべきだと考えます。フォントにしてもまた然りです。学校教育におけるこれまでのような手書き中心の学習活動では、その知識は必要ありませんでした。しかしちらしやパンフレットには、フォントの特性をうまく活用した表現が多く見られます。コンピュータで広告を作る上では、やはりフォントの種類やその特徴を知って、それをうまく使い分ける力が必要です。このような配色やフォントの学習は、ホンモノパンフレット作りにおける子ども達の大きな学びの一つとなりました。

授業の様子
この学習は知識伝達が目的ですから、教師主導型で行いました。プロジェクターであらかじめ作っておいたスライドを映し、それを見せながら進めていきました。
まずは配色の学習です。次のようなスライドを見せて、AとBのデザインでは、どちらの字が見やすいか考えさせました。
すると、すぐに子ども達から「B〜!」という声があがりました。そこで「どうしてBのほうが見やすいのかな?」と質問しました。この質問にはすぐに答えが見つからないようです。子ども達はじっくり考えてから、ポツポツと手をあげ始めました。「Aは字がぼやけている感じがする。」「Bはうしろの色と全然違う色が使ってある」など、子ども達なりの言葉で説明していきます。その中で、「Bは字が濃い。」という意見が出ました。ところがすぐに違う子から、「Bの下の字は白で濃い色とはいえない。」と反論がありました。そこで明度という言葉を使って、Bの見やすさの種明かしをしました。明度とはその名の通り,色の明るさのことです。明度は高い低いで表します。例えば同じ青でも、明度が高い青は水色、明度が低い青は紺色となります。子ども達に「文字を見やすくするには、背景色と文字色の明度の差を大きくするのがポイントだよ。」と説明しました。特に遠くからでも人目を引く必要がある広告物の場合、この明度差は重要です。この明度の説明を聞いて初めて、子ども達はBが見やすいわけを理解しました。なお読みやすい配色の条件としては、明度差を大きくする以外に、彩度差を大きくする、色相を反対にするなどのルールもありますが、子ども達が混乱するといけないので今回は明度の話にしぼりました。
 
次に色とイメージの学習をしました。「青色ってどんなイメージ?」とたずねると、「海!」「空!」「きれい!」といろんな答えが返ってきます。緑や赤などそのほかの色についても、イメージを話し合いました。そして色にはそれぞれ人に与えるイメージがあること、ジュース缶の塗装やお菓子の袋も、その商品イメージによって色が決められていることを知らせました。ちなみにPhotoshop Elements 2.0のイメージカラーは黄色です。「明るい、幸せ、楽しい」というのが黄色のイメージです。そのためPhotoshop Elementsの商品パッケージやパンフレットには、ひまわりの画像が使ってあります。また黄色は、踏み切りの標識や幼児の持ち物(帽子、傘など)にも使われています。これは安全色彩といって遠くからでも目立ってよく見える黄色の特性を利用して、事故防止に役立てていることを教えました。このように色とイメージの関係やその特性をうまく利用すると、伝えたいことをうまく伝えることができるということを学びました。
 
次にフォントの説明をしました。子ども達はコンピュータを操作しているときに、明朝体やゴシック体といったフォントの名前を一度は目にしたことがあります。しかし、その特徴や使い方までは知りませんでした。次のようなスライドを見せて、話をしました。
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