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ワークショップ 2002年度 ポスターセッション一覧
 
展覧会の絵
概要
ブースの様子
ブースの様子
ムソルグスキーがピアノ組曲「展覧会の絵」を作曲したのは1874年のことです。友人の画家であったハルトマンの急逝とその遺作展をきっかけにこの曲は生まれました。その7年後に42才という若さでムソルグスキー自身も没し、このピアノ曲「展覧会の絵」は忘れられてしまうのですが、約40年後、パリで指揮者クーセヴィツキーの依頼でラヴェルが編曲してから一躍オーケストラの主要なレパートリーとして定着しました。10枚の絵の印象を曲にした10曲から成り、その間に、全く同じモティーフの<プロムナード>が4回登場します。「遊歩」の意味を持つこの<プロムナード>は、展覧会の会場で作品を観て歩くときの感じを音楽で表したものです。音楽に合わせて、生徒の描いた「展覧会の絵」のイメージを曲ごとにまとめてみました。

生徒の作品(静止画)をピクセル単位でマッチングさせる技術を使って中間画像を自動生成し、A-B-C-D----とつないでみました。再生の速度は自由に変更できますから、曲のテンポにシンクロさせることも可能です。さあ、それでは皆さんを「展覧会」の会場へといざないましょう。

授業では、
音楽を聴いて、どんな絵だったか想像する
それを○△□を組み合わせた絵で表現する
絵の大きさは720×486ピクセル
レイヤー機能を使ってみよう
1曲あたり10人ぐらいの生徒の作品を連続してつなぎあわせて音楽と絵画をデジタル表現する
という流れで実施しました。

作品
生徒の描画は楽しく展開し、音楽と組み合わせたことによって、コンピュータでの描画に抵抗を覚えていた生徒も楽しそうに参加していました

■プロムナード
ひさびさに亡き友人の画家ハルトマンの作品に接する喜びを表しているかのように、明るく堂々たる足取りで始まる。
■こびと
地の底で宝物を守って暮らす「こびとの精」を題材とした絵によるもので、ガニ股のこびとの精がぴょんぴょんと跳ねまわるグロテスクな姿が、巧みに描かれている。
■プロムナード
次の絵へとゆっくり足を進める。わずか12小節ながら、牧歌的な気分にあふれている。
■古城
原画は、蔦におおわれた中世イタリアの古城の傍らで、楽器を手にして歌う吟遊詩人を描いた水彩画だといわれている。全曲を通じて最もロマンティックな曲で、ファゴットの短い前奏の後、きわめて抒情的な旋律がアルトサクソフォンで奏される。
■プロムナード
重々しく、力強い気分が伝わってくる。
<テュイルリーの庭>
テュイルリーというのは、ルーヴル宮殿に隣接して作られているパリの有名な庭園の名前で、この曲は、そのテュイルリーの庭園で、喜々として戯れる子ども達の姿を描いている。
■ビドロ(牛車)
ポーランドの鄙びた農村風景を描いたもので、曲は、ひきずるような鈍重なリズムから始まり、その上にチューバの素朴な旋律が奏される。
■プロムナード
次の絵にはハルトマンとの悲しい思い出でもあるのだろうか、この曲は妙に寂しく暗い。
■殻をつけたひなの踊り
カナリアの雛の頭巾を被り、卵の殻を身につけて踊るバレエのデッサンをもととしたもので、雛鳥のちょこまかとした動きが描出されている。
<サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ>
金持ちのゴールデンベルクが、木管楽器と弦楽器が威圧的にどなりちらし、それに対して貧乏人のシュミュイレが、弱音器をつけたトランペットで弱々しくふるえた声でしゃべりまくる。そういったふたりのユダヤ人の対照的な性格を表現している。
■リモージュ(市場)
南フランスにあるリモージュの雑踏する市場の中で、おかみさん達が何やらしきりにおしゃべりをしている場面。
■カタコンブ(ローマ時代の墓)
原画は、パリにある古代の地下墳墓カタコンブの中を、案内人につれられたハルトマンと建築家のケネルが、気味悪そうに見学している有り様を描いたもの。ラルゴの部分は実に陰惨に書かれていて、オルガン風の響きが神秘的な雰囲気を作り出している。やがて曲は、「死せる言葉による死者への話しかけ」と記された部分に入る。
■バーバ・ヤーガの小屋
バーバ・ヤーガは、ロシアの民話に出てくる妖婆のことで、ほうきにまたがって空中を自由に飛び回る、そのバーバ・ヤーガを描いたグロテスクで、強弱起伏の多い曲。
■キエフの大きな門
ハルトマンの設計した、三層の鐘楼とロシア風の先の尖った円屋根を持った壮大なキエフの門の設計図をもととした。大きく立派な建物の姿を幻想的に描いている。力強い堂々たる旋律から始まり、古代キリスト教の賛歌が2回繰り返される。そして寺院の鐘の音と<プロムナード>が奏され、最後に、冒頭に現れた旋律によって華麗なクライマックスへと向かう。
 
自評
音楽とコンピュータをリンクさせた本邦初演のプレゼンでしたが、ブース発表ではその特長を説明し切れませんでした。生徒の作品の順番を入れ替えるだけで印象が大きく異なります。次回は生徒に画像処理をさせてみようかと思っています。 参観者の方々には、モーフィングとは異なり、簡単な操作で静止画から連続画像を得ることができる点に関心を持っていただけました。生徒作品を印刷し掲示板に貼り出すだけでなく、デジタル情報ならではのまとめ方と評価いただきました。
 
参観者の感想
学校の先生のスキルの高さに驚かされました。
複数のテーマを持つビデオ作品のタイトルシーンに使用したいと思いました。
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