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D-project アーカイブス 情報教育座談会
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※この座談会記事は日本教育新聞(2002年3月8日付)に掲載されたものです
21世紀の学校教育の大きな鍵を握っているのは、質の高い情報教育であり、それを推進するための学校・地域・企業の連携と言ってもいいだろう。本シリーズは、これからの情報教育において不可欠な基礎・基本の力や子どもたちに起きるさまざまな変化、教育の未来像について、現場の教師、企業のスペシャリストなどを交えながらその答えや実践例を探求していくものである。「子どもたちのプレゼンテーション能力」について盛んに討論した第1回目は各方面からさまざまな反響をいただいた。2回目の今回は、教師自身のプレゼンテーション能力とその育成について、辛口のコメントも含みながら展開していく。この4月から始まる新教育課程の実施に向け、従来の教育観の見直しが迫られる今、情報教育はもちろん、授業の在り方そのものについて自らを振り返ってみることは必要なことではないだろうか。
相手に正しく伝える術を学ぶ
中川:前回の座談会は子どもたちのプレゼンテーション(以下、プレゼン)の現状と、プレゼン力を付けるためにはどうすれば良いかを話し合いましたが、今回は教師のプレゼン力をいかにアップするかについて議論をしたいと思います。ではまず、小・中学校の現場の状況から伺いたいと思います。

佐和:本校では「総合的な学習の時間」のなかに、情報リテラシーの時間を設定し、そこで情報教育の基礎的な力を体系的に育てています。今年度、私は担任を持たずに情報教育担当として学校全体を見る立場にあるのですが、4年生以上全員に実際にプレゼンを作らせました。ねらいについては子どもたちの実態を追って考えていきます。3年生はグループで協力して作る。4年生は個人でとにかく作る。5年生は中身。6年生はどう伝えるかというのをポイントにして進めました。
 担任を持っていた昨年度などは、総合のなかでグループや個人で調べたことをクラスで提案してきました。調べたことを誰にどう伝えるのかということのためにプレゼン能力の育成が必要です。リテラシーの時間は知識や技能などの基礎を身に付ける時間で、それを発揮するのが「総合的な学習」や各教科です。

豊田:私の中学校がある美里町は、自治体として町の情報化を推進しており、校内の施設も非常に充実しています。総合にも基礎知識や基礎技能がいるということで、「総合的な学習の時間」の前に総合基礎の時間を設けました。それは講座制度で6つあります。そのなかの1つであるプレゼン講座はいくつか段階があり、最初は技術科でプレゼンソフトの使い方を勉強し、第2段階として身近な事象をテーマに取り上げ、小学校に対して本校の説明をしようと試みました。これは内容よりちゃんと伝わっているか、正確に表現しているかの発表方法に重点を置いています。
 この基礎講座で得たプレゼンの力を応用し、さらに2〜3年でスキルにしばられず自然に作れるようにします。また、プレゼンソフトだけではなく、映像を活用した情報発信もあります。

中川:メディアを活用したプレゼンを核に「総合的な学習の時間」を行っているわけですね。

中川一史氏 「『失敗を学ぶ』ことが教師にできるかが心配」「各教科の根幹を育てる『情報科』での学び」
中川一史氏  

上草:私が坦当している「マルチメディアボード」はプレゼンのための道具と呼んでもいいでしょう。実際に学校現場でどう使われているのか、子どもと先生の発表場面の両方に居あわせ、発表する側と受け手の反応を見ています。
 先日ある中学校で、大学院の学生が発表の仕方を見せる授業がありました。教育実習生の先生は、「教師と生徒」という人間関係からスタートするプレゼンになり、何度も「分かるよね?」と言いながら進めていくんです。これは受け手が聞くことを前提とした形になってしまっている。
 でも、対等の関係でスタートするプレゼン、あるいは聞く気のない人たちへのプレゼンの仕方は、違ったやり方があると思います。そんな経験を重ねながら、先生たちの今後のあり方を一緒に考え、効果的なプレゼンの仕方などの研修を用意していくことが自分の使命だと思っています。
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