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シリーズ3 コミュニケーションのルールを知り、自分たちの気持ちを出し合える学校に
※この座談会記事は日本教育新聞(2002年5月24日付)に掲載されたものです
情報教育とは単にパソコンやインターネットを駆使する能力を育成することではない。「自分の感情を的確に報じる」ことであり、「他者の感情を汲み上げ、報いる」ことでもある。そこに介在するのは人と人をつなぐコミュニケーションだ。この四月から始まった新教育課程により、情報教育の推進は国家プロジェクトとして重要課題に挙げられている。このシリーズは、これからの学校教育に不可欠である学校・地域・企業の連携をその中心軸として、これからの情報教育において必要となる素養やさまざまな変化について、現場の教師や企業のスペシャリストなどを交えながらその答えを探ってきた。過去2回にわたって展開してきたテーマは、プレゼンテーション能力だが、3回目は情報教育の基礎基本であり、「生きる力」の根幹をなすコミュニケーション能力に着目し、徹底検証する。4人の発言・提案が、大きな変革の波が押し寄せる学校現場の一助になれば幸いである。

(左から)北川久一郎氏(アドビシステムズ株式会社)、中川一史氏(金沢大学教育学部教育実践総合センター助教授)、山本直樹氏(京都市立桂坂小学校教諭)、江守恒明氏(富山県立大門高等学校教諭)
コミュニケーションしやすいクラス作りを
中川:今年度から始まった「総合的な学習の時間」のねらいのなかに、「学び方やものの考え方を身に付け、問題解決や探求活動に主体的に創造的に取り組む態度を育て、自己の生き方を考えることができるようにすること」との一文があります。また「情報教育」については、「情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議第一次報告」で3本の柱が打ち出されましたが、そのなかのひとつに「情報活用の実践力」があります。「総合的な学習の時間」や情報教育のなかで、コミュニケーション能力の重視が明らかにされ、いかにコミュニケーション能力を付けていくかが非常に重要な課題になってきます。そこでまず、小学生たちのコミュニケーション能力の現状についてお話しください。

山本:
挨拶できる子が少ないことと、話しているときに用件の主旨が分かりにくい子が多いようですね。先日、高学年のグループ活動の最中にグループ替えをしたら、どこにも入れない子どもが出てきたんですが、当人は「先生、ぼくはどこに行ったらいいんですか」と質問してきました(笑)。学年を問わず、自分からの働きかけがなかなかできないようですね。

中川:コミュニケーションがとれないのは、気持ちの面で抵抗感があり、出さないようにしているんでしょうか?

山本:学級内で、子ども同士の人間関係がしっくりいっていない場合は、自分の意志をなかなか出せないようです。ところが人間関係がしっくりいっているクラスの子どもは、ごく自然に自分の気持ちを出している。ですから子どものコミュニケーション能力の問題は、教師側も自身の問題としてとらえ、反省し対策を考えなければならないと思います。

中川:
コミュニケーションのスキルを教えるより、まず周りの大人が人間関係が円滑になるような雰囲気づくりを支援するということですね。

中川一史氏 小・中・高・大学・社会人と縦の観点で見ることが大事
中川一史氏  

山本:そうです。特に最近は学級崩壊の問題がクローズアップされています。一度崩壊してしまうと子どもがコミュニケーションを取ること自体に萎縮してしまうので、それ以前の自分たちの気持ちを出し合えるクラス作りということを常に考えるべきでしょう。

中川:
高校生の状況はいかがでしょうか?

江守:本校は進学を目指す生徒が多く、授業中は静かすぎるほどです。本当は生徒たちも疑問を持っていると思うのですが、恥ずかしがっているのか、自我の目覚めのせいか、次第に発言しなくなり自分の殻に閉じこもってしまいがちですね。
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