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【第4回】
おさげ髪の少女に会いに「名古屋市美術館」

名古屋市街地にある緑豊かな白川公園。その一角、とても静かな環境の中に、名古屋市美術館があります。昭和63年4月に「文化の香り高いまち名古屋」の実現の一翼を担うために開館しました。地階と1、2階からなる造りですが、3層吹き抜けのロビーがあり、地下独特の圧迫感がありません。とても明るい感じです。
現在の収集方針は、4つの大きな柱からなっています。「郷土の美術」「エコール・ド・パリ」「メキシコ・ルネサンス」「現代美術」の4つです。美術館の出発は、地元作家の作品を収蔵することでしたが、作家への美術史影響と関連を理解し、収蔵作品に厚みをもたせ、国際性あるものを加えることを考慮して範囲が広げられました。最近では、企画展示で「モネ展―睡蓮の世界」「マグリッド展―不思議空間へ」が開かれました。1月からは、「現代美術のポジション2003」が開かれます。現在この地方に住み、活躍する9名の個性溢れる作品が楽しめるそうです。

美術館開館の時からの目玉作品は、「エコール・ド・パリ」の中にあるモディリアーニの「おさげ髪の少女」です。この作品は中学校の教科書にも載っており、「どこかで見たことがある。」と思うはずです。私がこの美術館を回って心に残ったのも、やはりこの作品でした。この少女は、純粋で素朴な瞳で画家を見つめています。モディリアーニの作品といえば、S字型の体、目玉のない目、卵形の顔が多く、瞳の入ったこの絵は、大変めずらしいです。この絵は、第一次世界大戦のころ、モディリアーニが戦禍をさけるために旅行した南仏で描かれたといわれています。少女の左側のバックは瞳と同じ青色の壁で、聖なるものを表し、右側のバックは茶色のドアで、俗なるものを表しているといわれているそうです。私は、まっすぐに見据える瞳に飲み込まれそうになりました。この少女が何かを語っているように思えましたし、純粋でしかし、奥底に人間の強さをも含んでいるような表情にも思えました。見る人の心境で、表情が違って見えるのではないでしょうか。

おさげ髪の少女に会いに「名古屋市美術館」

平成10年度からは、ガイドボランティア制度が導入され、実物の作品を前に、説明を聞くことができます。私が冬休みに行ったときには、常設展示のガイドツアーが1日に2回行われていました。社会見学や授業の一環として子どもたちを連れて行っても、きめ細やかな対応が可能です。また、常設展の入り口にはガイドボランティアが作成したワークシートも用意されており、子どもたちだけで行っても美術館に親しめるよう工夫されています。

ホームページには、「教師のための名古屋市美術館利用ガイドブック」という学校教育で活用するためにとても便利なページも用意されており、実際に行われた鑑賞学習活動をもとにつくられた数種の見学コースや実践例も紹介されています。遠方のため美術館の見学が難しい学校には、「アートカード」という複製印刷物を使った実践例もあります。実際に見学に行けるなら、白川公園内で隣にある名古屋市科学館で、科学展示やプラネタリウムを楽しむこともできます。これから美術館などの施設をうまく利用し、学校教育に新しい風を吹かせたいものです。

レポート:岡村里香(三重県 阿児町立神明小学校)

名古屋市美術館(Nagoya City Art Museum)情報

住所 愛知県名古屋市中区栄二丁目17番25号(白川公園内)
交通機関
・地下鉄東山線・鶴舞線「伏見」下車、5番出口から南へ徒歩8分
・地下鉄鶴舞線「大須観音」下車、1番出口から北へ徒歩7分
・地下鉄名城線「矢場町」下車、4番出口から西へ徒歩10分

公式ホームページ
http://www.art-museum.city.nagoya.jp/
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